風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

アトピーとの闘い(成人女子)ーその8(精油(アロマオイル)を補助的に用いて)

娘のアトピー性皮膚炎が一気に悪化した4月当初は、手の施しようがないと思える程の症状だった。最初に酷くなったのは、膝の裏から大腿にかけてで、皮膚組織が破れて組織液がしみ出てくる状態だった。
組織液というのは血液の液体成分である血漿が毛細血管からしみ出したもので、組織間を満たしている。この組織液の一部はリンパ管に入りリンパ液として全身を循環する。皮膚の表皮の下層にある有棘層にはこの組織液が流れていて、栄養分を運んでいる。

当初、娘はインターネットで調べ、この組織液を拭き取ってしまうのでなくラップで患部を蔽うという方法を試してみたいと言ったので、やってみたのだが、症状が広がる一方だったのですぐに止めた。

そこで、精油(アロマ・エッセンシャルオイル)を使って軟膏を作ることにした。
没薬(Commiphora myrrha)(カンラン科)精油は、「組織の変質を食いとめる。腫脹、皮膚潰瘍、ただれ、床ずれを好転させ、滲出性の創傷、ひびが切れた湿った肌を鎮めてくれる」(『アロマテラピーのための84の精油』)と書かれている。没薬(ミルラ)精油は樹脂を蒸留したものなので固まりやすい。そこで、溶かしたミツロウとホホバ油に混ぜて軟膏にし、組織液が出ている所に部分的に塗るようにした。この時、癒傷作用や細胞成長促進作用のある真性ラベンダー(Lavandula angustifolia)(シソ科)精油ブレンドした。

けれど、皮膚は毒素等を排泄する機能も持っている。そこで、組織液が出るのは、ステロイド剤などの体内に溜まった毒素を排泄している過程であると捉え、これを塞ぐのでなく、植物油で保湿はするけれど、全部を出し切るまで気長に待つことにしようと考えた。
それからしばらくして、パントテン酸食材を摂ると痒みが治まることに気づき、皮膚そのものにアプローチするのでなく食事で治す方向に考えを転換した。

井上重治=著『生きる力 自然から学ぶ健康法』には次のように書かれている。「しかし、すでに述べたように重度の炎症のある皮膚に精油を直接塗布することは慎重であるべきです。精油自身が皮膚を刺激して鋭敏な皮膚に新たな炎症を惹起する可能性があるからです。特にアトピー性皮膚炎には注意が必要です」
しかし又、『生きる力』には次のようにも書かれている。「L-メントール、メントン、1,8-シネオールはマスト細胞からの抗原誘導型のヒスタミン遊離を抑制します。実際に、ラベンダー、ティートリー油などでは、そのアレルギー抑制作用が証明され、メカニズムについても調べられています。これらは、共通してアレルギーの惹起過程を抑制します。したがって、精油を塗布などで使用すると、速やかにアレルギー症状を緩和します」
ミントの香りを娘が好んだので、メントールやメントンを多く含むミント(Mentha piperita)(シソ科)精油を、精製水20mlに1滴混ぜて、膝裏などにスプレーで用いるようにした。お風呂上がりで血行が良くなり痒みが増す時などには、毛細血管を収縮させ冷却作用を持つミントはとても良いようだ。ただしミント類は顔に用いてはいけない。目や鼻などの粘膜を直接刺激すると良くない。

今年6月に入って、アトピーに関する新しい研究発表が出され、皮膚の常在菌であるカビの一種が作り出す蛋白質が汗の中に含まれていて、それがアレルギー反応を引き起こすということが分かった(http://www.hiroshima-u.ac.jp/news/show/id/17202)。そこで、ニールズヤードのティートリー精油とラベンダー精油を配合したボディパウダーと石鹸を購入して汗の季節に使用した。

又、8月には皮膚表面の細胞内にあるIL(インターロイキン)-33がアトピー患者には多いということや、ヒスタミンが発汗作用を抑え乾燥肌になりやすいというようなことが分かったと発表された(http://www.huffingtonpost.jp/2013/08/05/atopic_curative_n_3709522.html?utm_hp_ref=tw)。
上記『生きる力』には精油の抗炎症効果の作用部位」が図で表されている。

ここには残念ながらIL-33への対応については表示されていないのだが、炎症過程の1〜9のルートにどの精油が関与して炎症を鎮めるかが詳しく説明されている。これによるとティートリー精油は7個所で炎症反応をブロックすると書かれている。ティートリー精油の成分の中でも、1,8シネオール、テルピネン-4-オールが優位に働くようである。そこで、同じような成分を含有している月桃のハーブ水を化粧水に使うこととした。

『生きる力』には次のようにも書かれている。「さらに、ティートリーの吸入で、視床下部ー脳下垂体ー副腎を経由した方式でザイモザンの投与によるマウスの腹腔内の炎症を抑制することが報告されました。これは嗅覚ー内分泌を介した抗炎症効果です。炎症抑制の機構が精油成分や投与方法によって異なることが分かります」精油を塗らなくても香りを嗅ぐだけでも多少の効果が期待できるということが分かる。
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夏の初めにスズメバチが家の中に侵入して大騒ぎした。ナード・ジャパンが出している『ケモタイプ精油事典』ラベンダー・スピカ(Lavandula spica)(シソ科)精油の項にはスズメバチによる虫刺され」への適用が+4となっている。そこでプラナロムのラベンダー・スピカ10ml一瓶を購入して手元に置いておくことにしたのだが、この精油には1,8シネオールが多く含まれていて、処方例の中にアトピー性皮膚炎があげられている。
精油は同じ物を長く続けて使わない方が良いので、夏の間、ミントからラベンダー・スピカに代えて精製水にブレンドして、汗をかく膝裏や肘の内側などにスプレーするようにさせた。

精油を使用するときには、使用する人がその香りを好きかどうかが先ず一番の選択基準となる。そしてやはり、どんなに良い精油でも、その植物にアレルギーを持っている場合は使うことは出来ない。その精油の植物の属する科をチェックしてから使用するように常に心がける必要がある。
追記
ハーブ、精油類は放射性物質と親和性が高いという情報を得た。将来的に問題が生じる可能性が考えられるので、使い続けないよう気をつけなくてはならない。また、産地を確認して使用するよう注意が必要である。

参考書籍:ワンダー・セラー=著『アロマテラピーのための84の精油』(フレグランスジャーナル社)
     井上重治=著『生きる力 自然から学ぶ健康法』(フレグランスジャーナル社)
     『NARDケモタイプ精油事典Ver.6』(編集・発行:NARD JAPAN)

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http://d.hatena.ne.jp/myrtus77/20150704/p1