『一首鑑賞 日々のクオリア』で紹介された本多真弓さんの短歌( https://sunagoya.com/tanka/?p=20094)を拝見して、昨年末紹介された竹山広さんの短歌( https://sunagoya.com/tanka/?p=19774)を本歌にしておられるのではないかと思った。
以下に短歌を引用させて頂く。
寝室にひもの一本垂れてあり昭和の紐をひいて眠らな 本多真弓
寝たる手の届くところまで電灯の紐を垂らせば年は終りぬ 竹山広
竹山広さんのこの短歌を平岡直子さんは竹山さんの背景には触れないで紹介されていたのだが、竹山さんが長崎で被曝された歌人だということを考えれば、寝室に垂らされた電灯の紐を「昭和の紐」と詠まれた本多さんのこの短歌は背後に大きな拡がりを見せるように思われる。
「昭和の紐をひいて眠ろう」と詠う。ここにはどういう思いが込められていただろうか?と思う。
この短歌は、2017年に出された『猫は踏まずに』(六花書林)という歌集に収められているようである。今年「平成」が終わろうとしているが、「平成」とは福島原発事故もあり、「昭和」を引きずったままの時代であったように私には思える。
3月となった。また、3・11が巡ってくる。