ひかり降る蝉の時雨となりて降る
この時季、私の中では秋と夏とが混在している。
降るや降る銀の雫と蝉しぐれ胎児となりて眠れる耳に
病院で生まれてすぐの頃、おっぱいが足りていなかったせいか、娘は大声で良く泣いて夜中もなかなか寝なかった。そこで、看護婦さんが胎内で聞いていた母親の心音を模したという音を聞かせて寝かしつけてくれた。血流の音だろうか?シャーシャーと私にはうるさく思えたが、新生児はその音の中ですやすやと眠るのだった。
まどろみの中で蝉時雨を聞いていると、自分が胎児に戻って胎内に眠っているような錯覚に陥ってしまう。