風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

ヘム(つまり2価の鉄原子とポルフィリンから成る錯体)という奴と、シトクロムcオキシダーゼ

以下のリンク、引用以外の私の考察の中には間違いが含まれているかも知れません。

ヘム=2価の鉄原子とポルフィリンから成る錯体である。(略)ヘモグロビン、ミオグロビン、ミトコンドリアの電子伝達系(シトクロム)、薬物代謝酵素(P450)、カタラーゼ、一酸化窒素合成酵素、ペルオキシダーゼなどのヘムタンパク質の補欠分子族として構成する。ヘモグロビンは、ヘムとグロビンから成る。ヘムの鉄原子が酸素分子と結合することで、ヘモグロビンは酸素を運搬している。
(略)
ヘムの分解は、脾臓中のマクロファージによって開始される。このマクロファージは、循環中の古くなったり損傷を受けた赤血球を取り除く。最初の段階で、ヘムは、ヘムオキシゲナーゼによりビリベルジンに分解される。NADPHが還元剤として使われ、酸素分子が反応に加わり、一酸化炭素(CO)が生成され、鉄がIII価のイオン(Fe3+)としてポルフィリン環から解放される。
遊離ヘムは脂溶性の鉄化合物であることから、活性酸素生成を促進して細胞傷害を悪化させる。(ウィキペディア

● ヘム代謝系関連酵素の構造生物学的研究
ヘムは生命活動に必須な補欠分子族であるが,タンパク質から遊離したヘムは活性酸素を生じる有害な分子となるので,速やかに除去する必要がある.この系はヘム代謝系として知られており,ヘムオキシゲナーゼ(HO)によって,ヘムはビリベルジン,一酸化炭素,鉄へと分解される.この系は生命に必須な鉄の供給源として重要であり,シグナル伝達物質としての機能が示唆されている一酸化炭素の発生源でもある.(略)
ヘムは中心金属として鉄を持つポルフィリン錯体で,酸化還元によって鉄が二価と三価を行き来する性質や二価鉄に酸素分子が結合する性質を利用することによって,電子伝達,酸素の運搬,酵素の活性中心として用いられる補欠分子族である.特に酸素呼吸を行うために必須な呼吸鎖を構成するシトクロム類はヘムタンパク質であり,ヘムは酸素呼吸を行うすべての生物の生命維持に欠かすことのできない分子である.しかし,その有用性はタンパク質に結合している場合に限られ,ヘムタンパク質の新陳代謝などによって生じた遊離のヘムは,酸素分子と化学反応を起こすことで活性酸素種を生じる有害な分子(プロオキシダント)である.したがって,遊離のヘムは速やかに分解される必要がある.この役割を担っているのが,ヘム代謝系である.
哺乳類において,ヘムを最も多量に含んでいるのは赤血球である.赤血球は120日周期の新陳代謝サイクルを持ち,老化した赤血球から生じる多量のヘモグロビンを速やかに分解する必要がある.老化赤血球は細網内皮系によって分解を受ける.このときに生じる遊離ヘムはヘムオキシゲナーゼ(heme oxygenase:HO)によって,ビリベルジン,二価鉄,一酸化炭素へと分解される. 二価鉄はトランスフェリンによる輸送やフェリチンによる貯蔵を経たのちに,最終的には骨髄でのヘムの合成などに再利用される.この経路によって供給される鉄は,1日に必要とされる鉄の90%以上を占めており,鉄の恒常性維持に非常に重要である.ビリベルジンはニコチンアミドアデニンジヌクレオチド/ニコチ ンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADH/NADPH)依存的なビリベルジン還元酵素によって,ビリルビンへと還元される.(略)
この揺らぎはヘムのアナログである亜鉛ポルフィリン錯体を結合させると消失するという結果が得られた.(抜粋引用)

化学におけるアナログは、ある化合物と受容体結合特性などの分子生物学的な性質や構造が類似しているが、ある化合物の原子または原子団が別の原子または原子団と置換された組成を持つ別の化合物のことをいう。(ウィキペディア

上にリンクさせて頂いた『ヘム代謝系関連酵素の構造生物学的研究』の最後に引用した「この揺らぎはヘムのアナログである亜鉛ポルフィリン錯体を結合させると消失するという結果が得られた.」の部分は、亜鉛の機能と健康』に記された「ミネラル含有酵母中の亜鉛・銅などは、メタロチオネインやヘムオキシゲナーゼー1などの抗酸化酵素を誘導する」に呼応しているだろう。

また、上記リンク記事から、ヘムがビリベルジンを経てビリルビンへと代謝されるためには還元型のナイアシンが必要であることが解る。

シトクロム=酸化還元機能を持つヘム鉄を含有する、ヘムタンパク質の一種である。(略)
特殊な役割として、ミトコンドリアのシトクロムcがアポトーシスに関与する(細胞質に漏れることでアポトーシスの引金を引く)ことが知られている。(ウィキペディア

シトクロムcオキシダーゼ=ミトコンドリア膜における電子伝達系の最後の酵素であり、4分子のシトクロムcからそれぞれ電子を受け取り、酸素1分子に転移させ2分子の水に変換する機能を持つ。この過程では、マトリックス由来の4個のプロトンから水が生成されるのと同時に4個のプロトンマトリックスから膜間スペースに透過する。これにより発生した膜間の電気化学ポテンシャルの差がATP合成酵素によるATP合成に用いられる。(略)
シアニド、スルフィド、アジドおよび一酸化炭素の全てがシトクロムcオキシダーゼに結合し、拮抗的阻害を及ぼし細胞を化学的な窒息状態にさせる。また、メタノール(メチル化剤)はホルムアルデヒドに変換され、こちらも同じように系を阻害する。(ウィキペディア

スルフィド=二価の硫黄が2個の有機基で置換された有機化合物である。(略)ニンニクやタマネギの臭いの元もスルフィド類である。(ウィキペディア

シトクロムcオキシダーゼは銅タンパク質からなる。銅不足でシトクロムcオキシダーゼが造れなくなると、シトクロムcは電子を供給できず、シトクロムcが溢れ、ミトコンドリアから細胞質に漏れ出てアポトーシスを引き起こすのではないだろうか?このアポトーシスには細胞内のカルシウムイオン濃度の上昇も関わっているようだウィキペディア「シトクロムc」)


ニンニクの臭い成分であるスルフィド等が「シトクロムcオキシダーゼに結合し、拮抗的阻害を及ぼし細胞を化学的な窒息状態にさせる」と記されている。私がニンニクを食べて頭痛を起こすのは、シトクロムcオキシダーゼが阻害され、シトクロムcによって血球のアポトーシスが引き起こされるからではないだろうか?
また、ニンニクの場合はカリウムが多いため同じニンニクに含まれるイオウと結合し無機のカリウムが血中に増えるために血球内に水分を引き込み、赤血球が破壊されるということもあると思われる。

シトクロムcオキシダーゼは、鉄原子によって運ばれる酸素を使ってエネルギーを生成するクエン酸回路に関わっているであろう。ゆえに、銅が不足することでシトクロムcオキシダーゼが造れず、シトクロムcが溢れることで細胞を傷害すると同時にエネルギー生成にも支障を来すと思われる。エネルギー生成は筋組織で行われるため、銅不足は心筋の働きに大きく影響を与えるだろう。

このように、銅は、シトクロムcオキシダーゼやセルロプラスミンによって鉄の運搬、代謝に関わっている。そのため銅が不足すると、鉄の利用と代謝がスムーズに行われず、鉄による色素沈着、全身の臓器への沈着によって臓器障害を起こす場合がある、と考えられる。

鉄の代謝と再利用には亜鉛、銅と共にナイアシンも必要であるようだ。


鉄を含む赤い岩塩の日常的な使用を考え直さなくてはならないようだ。