風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

ビタミンB6とトリプトファン(追記あり)


● キノリン酸分解酵素ノックアウトマウス | 栄養療法

上にリンクさせて頂いたサイトのトリプトファンからメラトニンへの変換経路とキノリン酸への変換経路の図を見ると、キノリン酸への変換経路の方が複雑で、しかもビタミンB6を三箇所で必要とすることが解る。セロトニンメラトニンへの経路でB6が関わるのは一箇所のみである。
この最終的にナイアシンへと変換されるキヌレニン経路で生成されるキヌレニンやキノリン酸は毒性の強い物質のようでもある。

私が娘にBコンプレックスを飲むことを勧めたのは、昼食でビタミンB6の比較的多い物を摂った日であった。しかもB6が多ければ、ナイアシンへと変換されるのである。ナイアシンに変換された上にBコンプレックスでもナイアシンを摂っていればヒスタミン値が上がって痒みを引き起こすことになる。また、ナイアシンまで変換されず毒性の強い段階で留まれば、他の傷害も引き起こすことになる。
やはり以前こうして良かったから同じことをするというのでは駄目だということだ。今の状態がどういう状態かを分析してその都度状況に応じた対応をしなければならない。


トリプトファンについて生田哲氏は、次のように記している。

 トリプトファンセロトニンに変換されるには、血液ー脳関門を通過して脳内に入ることが絶対の条件である。しかし困ったことに、すべてのアミノ酸のなかでこの関門をもっとも通過しにくいのが、トリプトファンだ。
 この生理学的なハードルを越える秘策は、トリプトファンを空腹のときに果物ジュースといっしょにとることだ。こういうことだ。果物ジュースに含まれる糖類によって血糖値が上がり、インスリンが放出される。このインスリンは、トリプトファンが血液ー脳関門を通過するのを助けるのである。(生田哲=著『心の病は食事で治す』)

インスリンを造るためにはナイアシン等の栄養素が必要であると思うが、そのために大量の栄養素を摂ろうとするのではなく、糖を摂ることでインスリンを出させると考えれば良いと思える。


トリプトファンの脳内取り込みについては以下のサイトにも記されている。


● 脳の栄養〜ブドウ糖(砂糖)とトリプトファンを中心として〜
 血中のトリプトファンが脳内に取り込まれることにより、抗うつ物質であるセロトニンが作られるが、その際にインスリンの存在が不可欠である。ブドウ糖や砂糖はインスリンの放出を促すことにより、トリプトファンの脳内への輸送を促進し、脳内でセロトニンの産生を高めている。(抜粋)

● 砂糖の筋肉増強作用について
脳内のセロトニンの濃度は、血中のトリプトファンの濃度に比例していることが示されている。しかし、タンパク質を多く摂取すれば脳内のトリプトファンが増えるというものではない。Wurtmanらの研究によると、血中のアミノ酸の量を増やすと脳内のトリプトファンの量はむしろ減少するということを示した。理由は、トリプトファンは、その他の分岐鎖アミノ酸と同じ輸送体を用いているため、血中のアミノ酸の量が増えると、競合するアミノ酸も増加することにより、トリプトファン以外のアミノ酸が脳内へ移行してしまうためである。このような場合には、炭水化物を同時に摂取すると図1に示すように競合するアミノ酸が筋肉などに取り込まれるため、競合が少なくなってトリプトファンが脳内に移行されやすくなるということが示されている。(抜粋)

肉類は多くのアミノ酸を含有するが、トリプトファンの含有は他のアミノ酸と比べて低い。
トリプトファンを含有しているといわれるバナナの含有量は少量であり、他のアミノ酸も少量であるが、バナナは糖類を多く含有するので、トリプトファンはバナナで摂る方が効率よく摂れるかも知れない。バナナにはビタミンB6も比較的多く含まれている。


溝口徹=著『「脳の栄養不足」が老化を早める!』では、L-グルタミンからGABAへの変換ではビタミンB6とナイアシンが、L-フェニルアラニンからドーパミンへの変換ではB6と葉酸ナイアシン、鉄が、そしてそこからノルアドレナリンへの変換ではビタミンCと銅が、L-トリプトファンからメラトニンへの変換ではB6と葉酸ナイアシン、鉄とマグネシウムが必要であるように記載されている。


一つの栄養素を大量に摂るのではなく、どの栄養素と一緒に摂るかが大事だと思わされる。

以下のサイトには、「血中のトリプトファン濃度に対するBCAA濃度が低下すると、脳内にトリプトファンの取り込みが増加して、中枢性疲労が促進されることから(図1)、中枢性疲労の予防・回復にたんぱく質(BCAAを多く含む)の摂取が有効である可能性が示されています」と記されていて興味深い。
「「BCAA」とは」=http://www.glico.co.jp/laboratory/health_science/sports/sports04_1.html