風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

「アトピー」の語源は「特定されていない」という意味のギリシャ語(追記あり)

この夏に汗をかいた状態で日に当たることがあってから、娘の皮膚の状態がまた悪くなっている。一度崩れるとなかなか元に戻せないのだが、今回は9月に入ってからも日に当たった状態で長く外にいなくてはいけないこともあって今に至るまで元に戻すことができないでいる。
この間に中耳炎になって、耳鼻科で薬を貰って来て飲んだということもあった。中耳炎になった段階で亜鉛不足ではないかと思っていたのだが、中耳炎の薬の中に抗炎症剤が入っていたので、飲んでいる間皮膚の状態も少し治まりかけていたのだが、薬が切れた途端、皮膚の方はまた悪化しだした。

数年前に汗の中に含まれている蛋白質がアレルギー反応を引き起こすという研究発表がされたが、この汗が引き金となったことは明らかだと思う。そして紫外線によって、亜鉛や銅が消費されたということも言えるだろう。
しかし、それにしてもこの状態が長いのだ。それで、娘に色々と聞き取りをしていると、微妙な変化があることが分かった。目の周りが赤く腫れているのだが、花粉症が始まる時期にあるような痒みはない、と言う。それで思い出したのが、またナイアシンのことであった。

栄養素の本に記されているナイアシンの解説を読むと、欠乏症と過剰症のどちらにも皮膚炎が記されているのである。
娘のアトピーを治療しようと考えた最初の頃、栄養素の本を見て、ナイアシン欠乏なのか過剰なのかどっちだろう、と思ったのだった。そのうち、鶏もも肉を昼食で摂った日の夕方、痒みがいつもより少なかったというので、パントテン酸で痒みを抑えることができると考えて、ナイアシンはあまり摂らない方向で進めたのだった。
けれど、昨年、ナイアシンの多いタラコを食べさせすぎて夫が心不全になったということがあったので、ナイアシンの多いものを控えてきた。といっても、色々なものにナイアシンは入っているので全く摂らないということはあり得ないのだが、やはりこのところ不足していたのではないだろうかと考えた。

 欠乏の典型的な病気は、ペラグラです。日光を浴びやすい顔や手足を中心に炎症が起き、下痢などの胃腸障害を発症します。悪化すると、頭痛やうつなどの精神状態を生じます。
(中略)
 ナイアシンを大量にとると、皮膚が炎症を起こして、かゆくなったり、ヒリヒリしたりすることがあります。
 さらに進むと、嘔吐や下痢、肝機能障害が生じます。(則岡孝子=監修『栄養成分の事典』(新星出版社)より抜粋)

こういったところはサッと読んだだけではどちらか判断できないと思われる。
過剰症と欠乏症の違いは痒みのあるなしと、日光を浴びた部分だけかそれ以外もかという点だと思う。
過剰摂取で痒くなるというのは、ナイアシンの過剰で血中ヒスタミンが増えるからだと言える。ヒスタミンは痒みや痛みを引き起こす。これはアレルギー反応である。
一方、日光を浴びて炎症を起こすというのは、銅などのミネラルと共にメラニン色素を造って紫外線から皮膚を防御しているナイアシンが不足しているからだと考えられる。こちらの場合はアレルギー反応ではないだろう。

以下、枠内、追記部分


ナイアシン欠乏と皮膚免疫』という研究論文の中に、「ペラグラの病態へのPGE2の関与が明らかになった.」と記されたものを見つけた。ナイアシン欠乏による光線過敏症はプロスタノイド合成系やその受容体が関与することが示唆された.….プロスタノイドは,アラキドン酸が細胞膜リン脂質より放出されることで合成され,COXによりPGH2となる.」

これは、柏崎良子=著『栄養医学ガイドブック』(学研)に記されていたことと合致する。
『栄養医学ガイドブック』には、アラキドン酸からプロスタグランジンE2、ロイコトリエン4が生成され、これに強力なアレルギー誘発作用がある、と記されている。さらに、「プロスタグランジンE1やE3には抗アレルギー作用や抗炎症作用があります」と記されている。
そして、リノール酸からγーリノレン酸を経て、ジホモーγーリノレン酸からプロスタグランジンE1に変換される過程でナイアシン、ビタミンC、ビオチンが促進要因として関与しているように記されている。
つまり、リノール酸から変換される二つの経路のうちのアレルギー抑制経路でナイアシン等が必要だということだ。ナイアシン等の栄養素が欠乏している場合、リノール酸からアラキドン酸への変換が優位になって、アレルギー反応を引き起こすということのようだ。
(ビオチンもビタミンB群の栄養素で、エネルギー生成でも他のB群の栄養素と共に働く。欠乏しやすいように思う)

このことから、ペラグラは光アレルギー反応と言えるように思う。

汗をかくことでアレルギー反応を引き起こし、そこに紫外線を浴びたことによって活性酸素消去に関わる亜鉛と銅が消費された。その上、銅、ナイアシンが不足していたためにメラニンも形成できないで炎症を起こした、ということではなかったろうか。複合的なのだ。
しかし、ナイアシンを摂りすぎれば即時型アレルギーを引き起こすだろう。また、亜鉛も摂りすぎることで遅延型アレルギーを引き起こしてアトピー性皮膚炎は悪化すると思われる。栄養素を過不足なく摂取できれば良いのだが、これが難しい。


アトピー」というのは、「奇妙な」とか、「未知の」という意味を持つギリシャ語を語源としているようだが、アレルギー反応と言われながら、それだけでは説明しきれない部分が未だに残っていると思える。

今、私は、これらのことを含硫アミノ酸であるメチオニンシステインとの関係で考えようとしている。纏めるにはもうしばらく時間がかかりそうだが、亜鉛、銅、メチオニンシステインなどは皮膚炎と共に夫の腎機能障害とも関連しているだろうと考えている。