風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

顕現日ー「宝の箱をあけて、黄金・乳香・没薬などの贈り物をささげた」(マタイ福音書2:11)





聖書の中の植物と香油1没薬と乳香

私達には馴染みがないが、キリストの顕現を祝う祝日に「公現祭」というものがある。『岩波キリスト教辞典』には、西方教会では東方教会の影響を受けて、1月6日を全世界に対するキリストの顕現を記念する日とし、イエスの洗礼とともに東方の3博士の来訪を記念することが一般的となった」と記され、グレゴリオ聖歌には、この日読まれる聖書の箇所を踏まえ、・・東方の3博士を歌詞に含むものが多い。バッハは・・を作曲した。『人々シバよりみな来たりて』BWV 65の歌詞は、東方の博士たちが黄金、乳香、没薬を幼子イエスに捧げる新約の記事を、シェバより人々が贈り物を携えて主を讃えに来る旧約の預言の成就とする救済史的視点から作詞されている」と続いている。


さて、没薬乳香もカンラン科の低木が産出する樹脂である。この樹脂を使って香油を作る。

主はまたモーセに言われた、「あなたはまた最も良い香料を取りなさい。すなわち液体の没薬五百シケル、・・を取りなさい。あなたはこれを・・香油を造るわざにしたがい、まぜ合わせて、におい油に造らなければならない。これは聖なる注ぎ油である。(出エジプト30:22~25)

没薬の学名は「Commiphora myrrha」といい、エジプトでは特上のミイラ作りに用いられたようである。「没薬(ミルラ)」から、ミイラという名がつけられたとも言われている。アロマテラピーのための84の精油には、「組織の変質を食いとめる…。この精油には…とくに床ずれを好転させ、また浸出性の創傷、ひびが切れた湿った肌をそれぞれ鎮めてくれます」と記されている。
私は、この没薬をラベンダー精油と共にミツロウに混ぜて、母の床ずれ防止クリームを作った。精製していないミツロウはほんのり甘い蜂蜜の香りがするので没薬のクセのある香りをラベンダーと共に和らげてくれる。介護士がクリームの蓋を開けて、「すごく良い香り!」と感嘆の声を上げていたものだ。ミツロウは疎水性が高く水分から皮膚を守ってくれるためリップクリームやハンドクリームの基材として適している。ミツロウよりもさらに疎水性の高いのがワセリンである。床ずれ用等のように部分的に使用するのであれば汗腺を塞いでも支障はないだろう。
この、母用に作ったクリームを、施設常勤のナースが勝手に他の人に使ったことがあった。使用してから「とても良く効くので他の方にも使わせてもらいました」と報告されたので、プロ意識に欠けたとんでもないナースだと呆れたのだが、このナース、主任看護師であった。材料費を問題にしているのではない。体質によって合わない場合があるということなのである。合わない場合は、使うことで却ってアレルギー反応を引き起こすことになる。

エステル記には、おとめ達がアハシュエロス王の元に出る時の斎戒のために没薬が用いられたことが記されている。「おとめたちはおのおの婦人のための規定にしたがって十二か月を経て後、順番にアハシュエロス王の所へ行くのであった。これは彼らの化粧の期間として、没薬の油を用いること六か月、・・が定められていたからである」(エステル記2:12)
没薬の私の香りのイメージは、「水害の後の湿気た畳のような匂い」だ。これは、私にとっては懐かしくて好きかも?という香りなのだが、嫌いだと思う人がエステル記に記されているように没薬の香油を6ヵ月も身に纏わなければならないとしたら、拷問のようなものかもしれない。


乳香は、アロマセラピーでは「オリバナム」、「フランキンセンス」とも呼ばれている。
『プロフェッショナルのためのアロマテラピーの乳香の特性には「抗老化作用」と書かれている。近年、アンチエイジングで顔の“しわ”をのばすために、この乳香がフェイシャルクリーム等に用いられるようになってきた。
“しわ”というのは、皮膚の真皮層の断裂によって出来るという。真皮層の下部である網状層を構成するコラーゲンやエラスチンなどの線維たんぱく質が断裂した状態が“しわ”だということだから、乳香が“しわ”を修復するというのであれば、同じような線維たんぱく質で成り立っている筋肉の修復にも効果を発揮するのではないかと私は思うのだが、どうだろうか?

乳香の学名は「Boswellia carterii」と言い、「carterii」は「(ミイラ研究者である)カーター博士に因む」という意味である。このカーター博士がエジプトでミイラの埋葬所を開けたところ乳香が発見されたということなので、乳香もやはりミイラづくりに用いられていたということである。アロマテラピー事典』にもエジプト人はまた、これを遺体の防腐保存にも使いました」と書かれている。


ミイラ作りに使用された没薬と乳香が生まれたばかりの幼子イエスに献げられたのである。このような贈り物からも、イエス様が十字架の死へと向かって歩まれるということが、赤ん坊となって私達のところに来られた時から示されていたと分かるように思う。


そしてイエスに、没薬をまぜたぶどう酒をさし出したが、お受けにならなかった。(マルコ福音書15:23)
また、前に、夜、イエスのみもとに行ったニコデモも、没薬と沈香とをまぜたものを百斤ほど持ってきた。彼らは、イエスの死体を取りおろし、ユダヤ人の埋葬の習慣にしたがって、香料を入れて亜麻布で巻いた。(ヨハネ福音書19:39~40)



今日は金曜日です。毎週、SPYBOYさんの原発反対首相官邸前抗議の記事をリンクさせていただいておりましたが、あまり続けると、官邸前抗議を強要することになるのではないかと考えましたので、今年からはリンクを止めることに致しました。SPYBOYさんのブログをご覧になりたい方は、このブログのサイドにリンクしています「特別な1日(Una Giornata Particolare)」をクリックして、ブログにいらしてください。(ミルトス)