風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

カモミールティーとカモミール精油と抗ヒスタミン作用

佐々木薫=著『ハーブティー事典』(池田書店には、「カモマイル」の項の「作用」に確かに「抗ヒスタミン」と記載されている。しかし、この書き方には問題があるだろうと思う。しかもこの本の「カモマイル」の項は、ジャーマンカモマイルもローマンカモマイルもひっくるめた形での記載なので、そこにも問題があると思える。

グリーンフラスコ=監修『アロマテラピーのすべてがわかる事典』(ナツメ社)の「カモミール・ジャーマン」の項には、「『アズレンブルー』と呼ばれる精油の濃い青色は、蒸留時に生成されたカマズレンという成分によるもので、強い抗炎症、抗アレルギー作用があります。カマズレンはカモミール・ローマンにも含まれていますが、カモミール・ジャーマンのほうがはるかに含有量が多く、そのためスキンケアなどに使われることが多いようです。」と記されている。
また、林真一郎=編『アロマテラピーの事典』(東京堂出版には、ジャーマンカモミール(学名 Matricaria chamomilla)は精油成分としてカマズレンなどのアズレン誘導体やビサボロール誘導体を含み、主に消炎作用を目的に用いられます。ジャーマンカモミールの花の中ではマトリシンという成分の形で含有され、蒸留時に分解して青色を呈したカマズレンが生成します。したがってジャーマンカモミール精油は青色を呈しているのが特徴です。」と、ある。

また、『NARDケモタイプ精油事典』(Ver.6)「カモマイル・ジャーマン」の「カマズレン」のところには「抗アレルギー作用、抗ヒスタミン作用、抗炎症作用、鎮掻痒作用、皮膚組織再生作用」と記載されている。

つまり、ジャーマンカモミールの抗ヒスタミン作用を期待して用いようとするなら、精油を用いなければ効果は得られないと結論付けることが出来る、と思われるのである。


しかし、ところどころで間違った記載や曖昧な記載は他の書籍にもあるのだろうと思う。今回、カマズレンについて調べていた中で、これはちょっと違うのではないかと思うものが他にもあった。

この、Sue Clarke著『アロマテラピー精油のなかの分子の素顔』から写真に撮った中に、「フランスでは、皮膚の再生を促す目的でエバーラスティング(ヘリクリサム)の精油が使用されているが、これにはセスキテルペンが最高50%含まれている」と記されているが、「皮膚再生作用」はセスキテルペンの中の「カマズレン」に特有の作用であって、セスキテルペンの作用には入っていない。

ヘリクリサムの皮膚再生作用は精油の中に15%ほど入っているケトン類によるものではないだろうか。
『NARDケモタイプ精油事典』(Ver.6)の「ヘリクリサム」の項の「ケトン類」の作用には、「瘢痕形成作用(創傷治癒)」と記されている。

実は、この『NARDケモタイプ精油事典』(Ver.6)を購入した時も、マジョラムの血圧への作用が真逆に記載されていたので電話で連絡して、その後訂正用紙が送られてきたのだった。時に間違ったことが記載されている場合があるので、複数の書籍に当たることは大事だと思う。

『NARDケモタイプ精油事典』(Ver.6)も随分前のものなので、そろそろ新しいものに買い換えなければと思っているのだが、アロマの仕事をしているわけでもないので差し迫った必要性を感じないままやり過ごしている。


私が20代の頃に出会った広田靚子さんの『広田靚子のハーブブック』(山と渓谷社の「カモミール」のところには、「このハーブティには鎮静作用があるため、…、発汗作用の働きでひき始めの風邪を治したり、芳香性の苦味が消化不良によく効くなど、さまざまな民間療法の他に、健康茶として今も用いられています」と書かれていたので、風邪をひいて熱が出かかった時にこのお茶を飲んで汗をかいて治したことがある。血行を良くするのだと思う。だから、蕁麻疹の時などは逆に全身に広げる可能性がある。

カモミールハーブティーは研修旅行で長野に行った時に初めて手にして、旅館で淹れて一緒に行った人達に出したら、「臭い!」、「不味い!」、挙げ句の果てに「ゴキブリの臭いがする」とまで言われ(心の中で「あんたはゴキブリの臭いを知ってるのか!」と言い返すしか出来なかった。つまり言い返すことも出来なかった)、ハーブに対する夢をこなごなに砕かれ奈落の底に落とされたのだが、そこから這い上がって今に至っている。結構私は、しつこいのだ。バジリコ・スパゲッティというのを注文したら、生の紫蘇が大量に入ったスパゲッティが出てきた時代の話である。まぁ、バジルもシソ科には違いないが、ラベンダーもシソ科である。


   ↓