風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

過酸化脂質と銅、亜鉛、そして放射能汚染

放射線によって銅がやられていると考えた時、最初銅の同族元素であるレントゲニウムについて疑っていた。けれど銅のような遷移元素は、縦の列の同族元素よりも、同じ周期の横の列の元素の方が性質が似通っていると言われているようである。だからカリウムと間違えてセシウムを、カルシウムと間違えてストロンチウムを取り込むように銅と間違えてレントゲニウムを体が取り込むということは考えにくいということのようだ。
またウィキペディアを見ると、レントゲニウムは、レントゲンが発見したX線とは何ら関係がなく、ニッケル64をビスマス209に衝突、融合させることで生成された人工放射性元素で、最も長い半減期を持つ同位体で26秒ということなので、刻一刻と変化していくもののようだ。だからといって、体に良いものだとは思わないが・・。

これらのことから、レントゲニウムによってというよりも、セシウムストロンチウムなどの放射性物質が環境中に増えることで活性酸素が過剰発生し、その過剰発生した活性酸素に対応するために銅が消費されていると考える方が理解しやすいように思われる。
けれど、「放射能汚染と活性酸素とシスチンと銅、そして亜鉛」で私は「やはり…、銅は活性酸素を消去する働きに関わっていた」と書いたのであるが、活性酸素を消去するというよりも、活性酸素によって過酸化脂質となったものを分解すると言った方が正しいのかもしれない。『栄養成分バイブル』には、銅は「過酸化脂質を分解する酵素SODの構成成分である」と記されているのであり、亜鉛食材を増やしていった時に治っていくのは過酸化脂質としての口内炎であり、ニキビであるのだから。

ウィキペディアで、SOD「スーパーオキシドジスムターゼ(スーパーオキシドディスムターゼ)」について調べると、活性中心に銅イオンと亜鉛イオンを持つもの、鉄イオンやマンガンイオンを持つものがあるように書かれている。
私は、口内炎や娘のニキビを解消するために亜鉛食材を重視していたのであるが、銅と亜鉛は共に過酸化脂質分解酵素の構成成分となっていたということが解った。やはりここでも銅と亜鉛の摂取比が大事になってくるように思われる。銅と亜鉛の摂取比は1:10が理想とされているが、体内比は個々人で違っているだろう。また、亜鉛は副腎皮質ホルモンによっても排除される。銅も副腎皮質ホルモンを産生するために消費される。ここでストレスの有無が関係してくる。

ここまでを先ず整理しておこう。
環境中の放射線量が高くなり、それらが体内に取り込まれることで活性酸素が過剰発生し、過酸化脂質が増える。銅や亜鉛はこの過酸化脂質分解酵素をつくるために消費され、他の働きをすることができなくなる。その結果、様々な病的症状が起こってきている、ということではないだろうか。

吉川敏一『ビタミン・ミネラル早わかり』(幻冬舎には以下のように記されていた。

 成人の体内に70~100mg含まれている銅は、筋肉や骨、肝臓に多く存在します。スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)などの酵素を助けて、乳児の成長、宿主の防御機構、骨強度、赤血球や白血球細胞の成熟、鉄の輸送、コレステロールや糖の代謝、心筋収縮、脳の発育など、さまざまな作用をもたらすミネラルです。
 また、骨髄でヘモグロビンを合成するときに、鉄の吸収をよくするほか、腸管からの鉄の吸収を助けます。

この続きの欠乏症のところには、次のようにも記されている。

 ヘモグロビンの合成が滞って、血液中のヘモグロビンの量が減ったり、赤血球が小さくなったりするので、貧血になるおそれがある。
 骨折や骨の変形を起こし、白血球が減少するため、抵抗力が低下する。
 まれに、成長障害、毛髪の色素脱失、筋緊張の低下、易感染症コレステロールや糖の代謝異常、心血管系異常が見られる場合がある。

また、『栄養成分バイブル』「銅が不足すると」のところにも、

 貧血による動悸、息切れをおこす。
 心臓、血管が弱くなる。動・静脈瘤、動脈硬化。心臓血管障害による突然死のリスクが高まる。

等と記されている。

動脈硬化も、活性酸素によってコレステロール等が過酸化脂質となって引き起こされるようである。
今年5月に陽に当たりすぎて眩暈を起こしていて、銅不足だと考えて銅の多いものを摂って治ったということがあったのだが、あの時あのまま放っておけば、動脈硬化を起こして本当に脳梗塞になっていたのではないかと今思っている。まぁ、年相応の小さな梗塞はすでにあるのかも知れないが・・?

このように銅欠乏の症状を見ると、今放射線汚染地域で出始めている症状に当て嵌まるものがやはり多いように思える。


最後にもう一つ、動画「生命に何が起きているのか〜阿武隈山地・科学者たちの挑戦〜」から考えたいと思う。

飯舘村の鯉の脾臓にメラノマクロファージセンターが多く見られたという。魚類の免疫について研究を続けてこられた鈴木譲さんは、この調査結果について、放射線によってダメージを受けた細胞の処理をマクロファージがする、それが追いつかないで仮置き場のように溜まっちゃっている、そんな像なんじゃないかなという風にこれはあくまで想像ですけれど、考えています。」と説明している。
また、魚類の遺伝について研究している中嶋正道さんのヤマメの調査でも、福島県のヤマメでメラノマクロファージセンターの増加が見られ、筋肉中のセシウムが多いほどメラノマクロファージセンターが広がっていた、と伝えている。
ナレーションでは、「ダメージを受けた細胞を処理した痕跡」と語られていた。

ウィキペディアでは、「メラノマクロファージセンターは異物や老化した細胞を非特異的に貪食、消化して他の細胞に受け渡す機能を有すると考えられている」と記されている。本来「貪食、消化して他の細胞に受け渡す」はずなのが、消化しきれず受け渡すことができないまま残されているということのようである。

マクロファージが貪食をする時に活性酸素を出して貪食するわけだが、銅などのミネラルが足りないために、残骸として残ったままになっているということが言えないだろうか、と私は考える。
栄養素の本を見ると、銅はマクロファージなどの白血球の成熟にも関わっているようであるし、銅と共にSODの構成成分となる亜鉛も免疫機能に大きく関係する栄養素である。
また、銅などによってつくられたメラニン色素を消去するのが亜鉛である。メラノマクロファージセンターの「マクロファージに含まれる褐色の色素はメラニン、リポフスチン、ヘモジデリンである」(ウィキペディア、と記されている。

そして又、亜鉛核酸の一種であるDNAを合成し、遺伝子情報の伝達にも関わっている。

上記魚類の遺伝について研究している中嶋さんの調査では、福島の三河川のヤマメの0歳魚と1歳魚の比較において、免疫を制御する遺伝子の発現量が1歳魚で低下していた、という。このことは免疫機能と遺伝子に関わる亜鉛に関連していると思われる。

これらのことは、環境中の放射線量が高くなり、体内で活性酸素が過剰発生し、過酸化脂質を分解することに亜鉛と銅が多量に消費されるために、生体を維持するための他の働きが出来なくなったということを表しているのではないだろうか。

私のこれらの推論を活用して研究してくださる方がいれば幸いに思います。