風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

絵本『どうぶつのおやこ』と『じどうしゃ』と、「いじわる魔女のさんすうえほん」シリーズ

昔書いた絵本の紹介から
 子どもが言葉を話し始める前に“指さし”という行為をすると言われています。あらぬ方向を指さして「あっ!あっ!」と言うのです。この“指さし”は言葉を話し始めてからも少しずつ形を変えてしばらく続くようです。
 うちの娘が言葉を少しだけ話し始めた頃、外で犬を見つけては「わんわん、わんわん」と指をさして追いかけたものです。乳母車を押して指さす方へ走っては、うるさく吠えたてる声をものともせず、つながれた犬の前で「わぁーんわ!」と感嘆の声をあげながら、しばらく見入っていました。

 車好きの子どもであれば、町行く自動車を指さして「ブッブ、ブッブ」等と言うのではないでしょうか。そんな子どもには乗物の本を使って絵本の世界へ招き入れてはいかがでしょう。
 前回、乗物絵本は図鑑のようなものより物語になっているものの方が良いと書きましたが、この時期の子どもにはむしろ図鑑のようなものの方が良いと思います。寺島龍一=絵『じどうしゃ』ーこの絵本には余計な文字が全く書かれていません。町で見かける本物の自動車のような精密な絵が描かれているだけです。色々な車が次から次へと出てきます。こんな絵本なら小さな子どもはページを繰りながら「ブッブ、ブッブ」と指さして大人に教えてくれるのではないでしょうか。
 “指さし”は他者とコミュニケーションしようとする思いの現れなのだと思います。絵本を媒介にして「ブッブだね」と応じてあげれば、きっと喜ぶだろうと思います。

 薮内正幸=絵『どうぶつのおやこ』も絵だけで言葉がありません。表紙には猫の親子が描かれています。こちらも、まるで本物を見ているような絵です。色々な動物の親子が出てきます。「にゃーにゃだね」「ぞうさんだよ。ぱぁーおー」等と言葉かけをしながら一緒に見るためにとても良い絵本です。

『じどうしゃ』『どうぶつのおやこ』いずれも福音館書店から。