風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」芳賀言太郎のエッセイ 第4回


「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」第4話 巡礼路の洗礼ふたたび〜コンクからカオールその先へ〜
コンク(Conques)は川の谷間にある静かな村である。家々は教会を囲むように段々に建てられている。重厚な石造りの家は近くで採れるスレートが屋根に葺かれており、光を受けて淡いブルーにきらめく。(抜粋)

  コラム「僕の愛用品」の4回目はタオル¥2,916
タオルにこんなお金をかけられるか!そんな声が聞こえてきそうである。・・。
朝早くから歩き始めるが、午後になると気温は三十度を超え、ギラギラと強烈な日差しが首筋に照りつける。そこでこのナノタオルの登場である。軽く水を含ませ首にぴたっと乗せると、一気に気化熱によってひんやりしてくる。これには本当に助かった。この経験があるからこそ私はこのナノタオルを巡礼に持っていくことを強く推奨したい。(抜粋)


エッセイの初めから、世の中の理不尽に腹を立てていた私の心をすっと落ち着かせてくれる。「エッセイを読むことが、生活に落ち着きを取り戻すための良い方法であった」ということに気づかせてくれる。
それに、途中からくすくすと笑いがこみ上げる。巡礼路で苦労している様子を読んで笑うなんて不謹慎だと思われるかもしれないが、この苦労には体が伴っているからだ。つまり、日頃無躯体な思いを味わわされている私達には体が伴っている感覚というのは喜びかもしれないということだ。伴う感覚が痛みや痒みであったとしても。
この中に載せられている写真の「名もなき礼拝堂」は、須賀敦子の『静かなる魂の旅』の中のサン・ダミアーノ教会のようだ。フランチェスコとキアラが祈りの生活をささげていたというオリーヴ畑の果てに立つ粗末な教会。いつか行ってみたいものだと思わされる。
(ミルトス)