風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

塩考ー酵素シロップ作りから





いのちは海から 〜主要成分だけではなく、微量な成分のバランスが大事  

札幌にいるときに、知人から美味しい塩を売っているお店というのを教えてもらって赤い岩塩を使うようになった。そのお店の人の話では、肉や野菜など陸のものには岩塩を、魚や海藻など海のものには海の塩を使うと良いということだった。けれど二種類揃えて使い分けるには高価なので、鉄分が豊富だという赤い岩塩を買って使っていた。そんなことで、こちらに帰って来てからもスーパーで売っている紅塩を使っていた。

年末に酵素シロップを作ろうと思い、「海の精」という塩を自然食品のお店に見に行って含まれている栄養成分をチェックした。それで、精製塩というのは「塩化ナトリウム」というように成分は限られているが、天然塩はそれぞれ含まれている成分が違うのだと改めて思った。基本的にはナトリウムの含有が一番多いが、「海の精」などはナトリウムについでマグネシウムが最も多い。私が赤い岩塩を気に入っていたのは鉄分が入っているからだったのだが、その他の成分には注意を払っていなかった。それで紅塩の成分表示を見てみると、ナトリウムについで多いのがカルシウムだった。カルシウム311mg 、マグネシウム25,7mg 。

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カルシウムとマグネシウムの理想比は2:1と言われている。筋肉の収縮は筋肉細胞にカルシウムが入ることでおこるが、このカルシウムの動きを調節するのがマグネシウムなのだ。中村丁次=監修『からだに効く栄養成分バイブル』(主婦と生活社にはマグネシウムが不足すると、細胞の中にカルシウムが流れ込みすぎて、筋肉の収縮がうまくいかず、けいれん、ふるえなどの症状が出ます。・・。筋肉のけいれんが血管壁でおこると、狭心症心筋梗塞につながりかねません。実際、マグネシウムに対するカルシウムの摂取比が高まるほど心臓発作による死亡率が高いと報告されています」と書かれている。私はこの事柄については以前から頭においていたのだが、使っている塩のカルシウムとマグネシウムの含有率については注意を払っておらず、盲点になっていたと言える。

このことから考えても、陸のものには岩塩を、海のものには海の塩を使うというのは違っているように思う。例外的なものも中にはあるが、肉類は加工品以外ほとんどがマグネシウムの方を多く含有している。だから一般的にお肉にはカルシウムの多い岩塩をふると言われているのではないかと思う。けれど、カルシウムの多い高野豆腐を煮るときや青菜を漬けるときにはマグネシウム含有の多い塩を使う方が良い。同じ海のものでも、カルシウムとマグネシウム含有の比がほぼ2:1の干しひじきとマグネシウムの方が多い乾燥わかめでは使う塩を変えた方が良いということになる。

鱈の白子などにはカルシウムの4倍のマグネシウムが含まれているから、海の物だけれど、カルシウムの多い岩塩を使った方が良いと思われる。

あまり神経質になってもやっていけないが、大雑把に、普段良く使う食材のカルシウムとマグネシウムの含有率を、ちょっと頭の隅においておくと良いかも知れない。
合わせる他の具材でも違ってくると思うが、乾燥わかめ等はカルシウムの多い塩で調理すれば味が引き締まって美味しくなるのではないだろうか。

この高野豆腐の煮物に使っている食材の椎茸以外は全部カルシウムの方が多い。蕪もカルシウムの方が多いのでマグネシウムの多い塩をふっておいたら、塩をふっただけでとても甘くて美味しい一品になっている。甘酢漬けにしようと思っていたがあまり美味しいのでそのまま食べることにしたくらいだ。



元素とか原子とか難しいことは分からないけれど、食物は体内に入って様々に分解されてから作用すると思うが、塩などのように素に近いものは作用も速く直接的で影響も大きいのではないだろうか。

引っ越しの前後2ヶ月ほど外食や出来合いのお総菜を買って食べていたせいか、甲状腺の持病で病院に行った夫が血圧が高いと診断された。その後、血圧に良いという塩化カリウムの塩があると教えられ、使っていた塩をその塩に変えた。変えて2ヶ月ほど過ぎた頃から私の体調がおかしくなった。いや、精神がおかしくなった。それで病院へ行って血液検査をしてもらったところ、ナトリウム値が正常範囲内ぎりぎり最低値でカリウム値が正常範囲内ぎりぎり最高値だった。ナトリウムとカリウムの理想比も2:1だが、私の体の中では逆転していたのだった。ナトリウムは高血圧の原因として悪者扱いされやすいのだが、少なければ良いというものでもないのだと、その時思った。

精製塩や、味のついた塩や化学調味料は、塩化ナトリウムやグルタミン酸ナトリウムで出来ているので、こういったものを摂りすぎればナトリウム過多になるだろう。スーパーなどで売っているお総菜やレトルト食品にはほとんどが「アミノ酸等」と記載されていてグルタミン酸ナトリウムが入っていることが分かる。ハムやソーセージなどの加工品のほとんどには亜硝酸Naやリン酸Naなどが入っている。驚くべきは、味噌に漂白剤として次亜硫酸Naと表記されたものがあることだ。そこまで酷くなくても味噌にアルコールが入っているものもある。これなどは、発酵させる時間をはぶき短時間で大量に商品を作るためのものである。

最近、娘が自分のアトピー体質の体を「お金のかかる体だね」と言ったが、そうではないのだ。今の日本は、安くて体に悪い物を大量生産して売り、病人を大量生産する社会になってしまっているということなのである。