風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

アトピーとの闘い(成人女子)ーその6(スキンケアはアプリコットカーネル油で)

アトピー性皮膚炎はセラミド合成障害だと言われている。セラミドとは細胞膜において脂質膜を構成する脂質の一種だという。セラミドについて調べていくとアポトーシスに関わっているというようなことも書かれていて非常に難しく、私には手に負えなくなる。それで途中で放り出して、とにかくアトピーの人間にとっては外からのスキンケアが欠かせないのだという結論に至る。実際、4月から夏に向かっていく間もアロマセラピーで使われる植物油が手放せなかった。皮膚のバリア機能が損なわれているので、水分が蒸発し、ひび割れが起こるのである。

娘が一人暮らしをしている時、私はスキンケアとしてオリーブスクワラン油(モクセイ科)を勧めていた。これは、オリーブ油からスクワレンというもともと人間の皮脂に含まれている成分だけを抽出したもので、酸化しにくいので扱いやすいだろうと思ったからだ。けれど実際使ってみると、オリーブスクワランは皮膚表面で衣服の繊維などと絡みついて皮膚を刺激する、ということだった。

アトピーが悪化した4月当初は、アロマセラピーで最も良く使われるホホバ油(ツゲ科)を塗るようにさせた。これは、植物性の液体ワックスで酸化しにくいのだが、それでいて皮膚への浸透性が高くべたつかず、どのような肌質にも合うと言われている。確かに使い心地は悪くないようなのだが、朝、顔に塗って半日も経たないうちにもう浸透してしまって皮膚がカサついている。ホホバ油は、精油を体内に浸透させるために用いるキャリアオイルとしてはとても良いオイルだと思うが皮膚表面に留まって皮膚を保護するのにはどうなんだろう?と思った。

そこで次には、パルミトレイン酸を20%以上含むというマカダミアナッツ油(ヤマモガシ科)を試させた。このパルミトレイン酸は人間の皮脂に含まれ皮膚細胞の再生に欠かせない成分である。

又、顔ではなく体の方には、皮膚炎による痒みを緩和させると書かれているスイートアーモンド油(バラ科を使わせてみた。けれどスイートアーモンド油は非常にオイリーで夏に向けてべたつく感じがしたので一瓶だけで使うのを止めた。

夏に向けてはさっぱりした使い心地のグレープシード油(ブドウ科を試した。グレープシード油はリノール酸が豊富な植物油で、低アレルギー性で多くのスキンクリームに使用されていると書かれている(『キャリアオイル事典』)リノール酸は食事で摂り過ぎるとアレルギーを悪化させる。けれど、リノール酸は皮膚の角質層でバリア機能として働くという。

このように試させながら、その間、私は色々調べていた。
実はアロマセラピーで使われる植物油の中にはアトピーに良いと言われているものがいくつかあるのだ。イブニングプリムローズ油(アカバナ科ローズヒップ油(バラ科などである。ところが、これらは不飽和脂肪酸を多く含むオイルで非常に酸化しやすい。そして私は、セラピストの資格を取るためのカルテ症例でローズヒップ油を購入して一度使って間を置いたために酸化させてしまったという体験をしている。酸化したオイルを皮膚に塗布すればアトピーを悪化させてしまう。それでこのようなオイルには手が出せないでいたのだった。
ローズヒップ油に多く含まれているのはαリノレン酸で、食用の紫蘇油などにも多く含まれていて、近年、アレルギー症状緩和のために注目され始めているのだが、酸化しやすいというのが難点なのである。このオイルを使うコツは、酸化しにくい飽和脂肪酸の多い植物油にブレンドしておくか、一回分使い切りのものを使用するかのどちらかである。

そうして色々調べて行き当たったのが、アプリコットカーネル油(バラ科だった。
アプリコットカーネル油には、リノール酸もαリノレン酸も少量だが含まれている。そして酸化しにくいパルミチン酸やステアリン酸などの飽和脂肪酸も含まれている。そして又、マカダミアナッツ油に含まれているパルミトレイン酸も少量ではあるが含まれている。ー(『キャリアオイル事典』)
使った感触も上々のようだ。アプリコットカーネル油はフェイス用として使われることが多いようだが、娘には顔にも体にも使わせることにした。

8月に入って顔の方はすっきりしてきたので、朝の洗顔後はハーブ水をスプレーするだけで植物油を塗らなくても大丈夫になったようだが、お風呂上がりは乾燥しやすいので塗るようにさせた。これから寒くなってくるにつれて、毎朝の洗顔後のスキンケアでもオイルは欠かせなくなると思う。

ただし、どのオイルも、その植物にアレルギーを持っている場合は使えない。使用する前に、その植物油の植物が何科に属する植物であるかチェックしてから使うこと!
これらの植物油は生活の木などのアロマ用品店で通販で購入することが出来る。生活の木ではアプリコットカーネル油は25mlから購入できる。私は今は、市内にある自然食品のお店においてある59mlのもの(食用ではなくアロマ用)を購入している。いずれにせよ少量のものを買って、使い切ってから新しいのを開封するように気をつける。

参考書籍:レン・プライス=著『キャリアオイル事典』(東京堂出版
     グリーンフラスコ=監修『アロマテラピーのすべてがわかる事典』(ナツメ社)