風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

娘と読んだ・・・

『いちばん初めにあった海』加納朋子=作(角川文庫)

以前書いた紹介文から 加納朋子=作『いちばん初めにあった海』(角川文庫)加納朋子は1992年にデビュー作『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞した推理小説作家です。又、95年には『ガラスの麒麟』で第48回日本推理作家協会賞を受賞しています。この『…

梨木香歩=作『りかさん』(新潮文庫)と武田英子=著『人形たちの懸け橋ー日米親善人形たちの二十世紀』(小学館文庫)

● NHK経営委員:新聞社拳銃自殺事件を礼賛 百田氏は『永遠の0』で「天皇のために死んだのではない」と連呼していたから、同じNHK経営委員でもこの長谷川三千子氏とは考え方が真逆なんだな。それとも百田氏も「特攻隊員達は天皇のために死んでいった」と今で…

梨木香歩作品『村田エフェンディ滞土録』と、小沢一郎氏

● 1本化について それは,脱原発という,原発の今後のあり方についての考え方。これは,事故を起こした,或いは,起きた国の,日本ということで尚更ですけれども,ちょっと大袈裟に言うと,この原発を継続するかどうかということは,人類史的な問題だと,私…

『ぬまばあさんのうた』岡田淳=作(理論社)

● 全部割って清々したい寒卵「いらくさのとげはいたいよ」さんより 以下は、以前書いた紹介文。岡田淳=作『ぬまばあさんのうた』こそあどの森の物語8巻(理論社)今回は、岡田淳=作『ぬまばあさんのうた』を紹介しましょう。 ♪ぬ、ぬ、ぬ、ぬ、ぬまばあさ…

『凍りのくじら』辻村深月=作(講談社文庫)

『凍りのくじら』辻村深月=作(講談社文庫) 『ぼくにとっての「SF」は、サイエンス・フィクションではなくて、 「少し不思議な物語」のSF(すこし・ふしぎ)なのです』(藤子・F・不二雄) 『凍りのくじら』の各章には「ドラえもん」の道具の名前が付けら…

『海猫宿舎』長野まゆみ=作(光文社)

雪が降りはじめる頃になると声に出して読み聞かせたくなる児童書があります。長野まゆみ=作『海猫宿舎』《海猫宿舎》の正しい名称は「第二十一児童療養所」なのですが、誰もそんな名前では呼びません。アレルギイ症状が酷くて都会で暮らせない子ども達が海…

『ポケットのなかのプレゼント』と『100万回生きたねこ』

以前に書いた絵本の紹介から、柳澤恵美=文、久保田明子=絵『ポケットのなかのプレゼント』(ラ・テール出版局) 今回は『ポケットのなかのプレゼント』という絵本を紹介したいと思います。 ガンで余命半年の宣告を受けながら、子ども達に命の大切さを伝え…

イ サンクム=著『半分のふるさと』と武田英子=著『人形たちの懸け橋』

イ サンクム=著『半分のふるさと 私が日本にいたときのこと』(福音館書店)この本は、私たちが札幌に引っ越した頃、「皆さんで読んで欲しい」と、ある老齢の牧師からおくられた児童書だ。 「はじめに」から引用してみる。 このお話は、韓国が日本の植民地…

高楼方子=作『時計坂の家』

高楼方子=作『時計坂の家』(リブリオ出版)フー子は、従姉妹のマリカの誘いを受けて、夏休みに母方の祖父の家を訪れる。そこで、三十数年前に行方不明になった祖母スギノの真相を捜し始める。高楼方子=作『時計坂の家』ーこの物語はファンタジーであり、…

『約束の国への長い旅』篠輝久=著(リブリオ出版)と『杉原千畝物語』

篠輝久=著『約束の国への長い旅』(リブリオ出版)娘が「どうしてユダヤ人ってあんなにいじめられなきゃならなかったんだろう」とつぶやいた時から、私は何か良い本はないだろうかと探していました。そして、この本に出会いました。篠輝久=著『約束の国へ…

『アンネの伝記』から『みどりのゆび』へ

以前、こんな本の紹介文を書いた。 アンネ・フランク作『アンネの童話集』 4年生の頃,学校の図書室でアンネの伝記を読んだ娘は「どうしてユダヤ人ってあんなにいじめられなきゃならなかったんだろう」と物思いに暗く沈んでいたことがあった。子どもだって…

『漁師さんの森づくり 森は海の恋人』と、三陸の復興は新しい発想で進める!

森林に降る雨音を歌と聞く ここはペンション夏の休暇の 今泉みね子=著『みみずのカーロ』(合同出版) 畠山重篤=著『漁師さんの森づくり』(講談社) 小さい頃の娘は「○○は何のためにあるの?」と、良く尋ねる子どもだった。例えば、「ハエはなんのために…

宮沢賢治『銀河鉄道の夜』と『虔十公園林』

宮沢賢治=作『新編銀河鉄道の夜』(新潮文庫)『銀河鉄道の夜』(角川文庫)6年生の娘に『銀河鉄道の夜』を読み聞かせていると、「それって、二人とも死んでるの?」と尋ねる。「最後まで読むと分かるんだけど、カムパネルラは死んでいてジョバンニは生き…

柏葉幸子の描く物語ーその2

柏葉幸子=作『天井うらのふしぎな友だち』(講談社文庫) 『かくれ家は空の上』 ( 〃 ) 『ドードー鳥の小間使い』 (偕成社)柏葉幸子さんのお話には必ずと言って良い程、自分の思いをちょっとがまんして周りの人の為に行動する男の子や女の子が登場する…

柏葉幸子の描く物語ーその1

『霧のむこうのふしぎな町』柏葉幸子=作(講談社文庫) 娘が小学四、五年の頃に一緒に読んだ物語の中に、柏葉幸子さんの作品が多くある。この『霧のむこうのふしぎな町』は、ジブリ映画の『千と千尋の神隠し』の元になったとも言われているが映画とは全く内…

ハリー・ポッターシリーズ

9歳から108歳までのファンタジーとして「ハリー・ポッター」シリーズが出た時、ちょうど9歳だった娘は自分でシリーズを読み始めた。娘に読み聞かせをするのでなければ、エンターテイメント系のぶ厚い本を読んでいる暇はないと思っていた私は映画だけを見続…

『魔女ジェニファとわたし』と『レンゲ畑のまんなかで』

富安陽子=作『レンゲ畑のまんなかで』(あかね書房) E.L.カニグズバーグ=作『魔女ジェニファとわたし』(岩波少年文庫) 『魔女ジェニファとわたし』は、娘が5年生位になったら読むように勧めようとずっと待っていた本だった。ところが、丁度ハリーポッ…

『ビロードうさぎ』マージェリィ・ウィリアムズ作(童話館出版)

『ビロードうさぎ』マージェリィ・ウィリアムズ作、ウィリアム・ニコルソン絵(童話館出版) この『ビロードうさぎ』は、友人から贈られた絵本です。 この絵本が届いた日の午後、娘と私はこんなやりとりをしていました。 娘:「天国へ行ったら、何才の時の体…

3、Three、三ー絵本『3びきのこねこ』から

v・ステーエフ=文、ジュリオ・マエストロ=絵『3びきのこねこ』(ほるぷ出版) これはもう絶版になってしまっているが、私が教員をしていた頃、担当していた子どもが大好きで何度も読み聞かせた絵本だ。読み聞かせると、いつも、「3びき」のところだけは…

絵本『はなをくんくん』ルース・クラウス文、マーク・サイモント絵(福音館書店)

「生きる意欲をかきたてる」のは、視覚でも聴覚でもなく、嗅覚なのではないかと私は思う。おいしい匂いを嗅ぐと食欲が湧く。同じように、大地の匂いは生きる意欲をかきたててくれる、と思う。草いきれ、雨後の湿った土の匂い・・。 どちらかというと生きる意…

絵本『マフィンおばさんのぱんや』竹林亜紀=作、河本祥子=絵(福音館書店)

絵本の中から匂いが溢れ出して来るようなお話を紹介しましょう。 その前に、皆さんは好きな匂いというとどういったものを思い浮かべるでしょうか。私には好きな匂いがいっぱいあって、3っつくらいにしぼろうと思ってもなかなか出来ません。 紀州で育った私…

娘と読んだ・・・2(聖書の中の物語)

娘にグリム童話の読み聞かせを始めてから、聖書の中にもハッピーエンドで終わる物語があるじゃないかと思ったのだった。たとえば、兄弟達にエジプトへと売られたヨセフが神様に守られて、その兄弟と父親を飢饉から救い出す物語など・・。その辺りのことに関…

娘と読んだ・・・1(グリム童話)

娘が生まれてから、家にあったシュタイナー教育の本を読み始めた。シュタイナーというのはドイツの思想家で、その思想はキリスト教の異端とされているのだが、つまりその教育思想の良いとこ取りをしようとしたのだ。 シュタイナーの教育では、幼児にグリム童…